2015年11月6日金曜日

第4回 ゴーストマンションを1棟まるまるリノベーション


今回は、エドマス社長武岡の出身地でもある徳島の北畑マンション1棟をまるごと改修したプロジェクト。その戦略コンサルから実際の改装、そして入居までを請け負った。

左:エドマス武岡、右:オーナーの岡田さん

プロジェクトと呼ぶのには、理由がある。

7階部分は5部屋ぶち抜きのワンフロアにし、“tokushimabasement(http://aizyu-tokushima.com/)”という企業のサテライトオフィス兼多目的スペースに生まれ変わらせる。そして、住居部分は全25部屋。

綺麗にする“改装”だけではなく、人の流れを生み出すまさに“場をつくる”というプロジェクト。







そして、大型案件だが予算は限られていた。

まさに戦略が問われる、エドマス武岡の腕が鳴るしごとだった。
この壮大なプロジェクトの言い出しっぺであり、また北畑マンションのオーナーである岡田さんの自己紹介から。

オーナー岡田さん(以後:岡田さん):「普段は公認会計士をしながら、家族のいる東京と出身地である徳島を週に2回往復しています。」


会計士のお仕事以外にも、会社役員や家業や地域の活動など多く手がけていらっしゃる。このプロジェクトは、徳島に「人の集まる場をつくりたい」という地域活性的な構想があったと思います。それはどこから?

岡田さん:「7年ほど前、たまたま東京の高輪台というところで、商店街のお祭りに徳島のお店を出店しないかと声をかけてもらったんですよね。その時に、地元の特産品の中からいいと思ったものを自分たちでひとつひとつ集めて委託販売したんです。みんなで藍染めのエプロンをつけてお店に立ったら、周りのお祭りの出店とも雰囲気も違うし、商店街の方たちにすごく喜ばれて。」

その活動が、東京にいながら地域活性のプロジェクトをされている原点になっているのだそう。

岡田さん:「お祭りへの出店は、その後も毎年5月にそれからずっと続けていますし、e-tokushima.netという団体から、四国全体にひろげて地域活性のプロジェクトHIP(Home Island Project)という任意団体にしています。」

その地域活性への思いを体現した“場”にしようとしたのが、

この“tokushimabasement”。岡田さんは、徳島県と高知県の県境にある木頭村の出身。ご実家は代々、林業を営んできた。

岡田さん「実家の森に囲まれた中に愛樹亭という100年くらい続く古民家があって。そこに地域の人が出入りしているのを子どものときに見ていたんです。」

身近に、人が集まってくる場所というのがあってそれを見て育った岡田さん。

自分が、徳島から離れて東京にいるからこそできる人とのマッチングや、木材を活用した空間をつくる…といったことが連鎖的に結びつき、将来への投資と決めてこの場所のコンセプトをつくった。

武岡:「最初に聞いたときね、妙に7階の部分だけコンセプトがしっかり決まっていたんです(笑)。下の階の住居部分は、空き部屋だらけだったので、このままにする気?って本気で突っ込みましたね。」


当時、2階から6階の住居部分は、5部屋しか埋まっていないという状況。このまま7階部分だけ綺麗にリフォームしても、資産的にもうまく回らない上に、ゴーストマンションの最上階だけ綺麗にしても人の集まる場にはならない。

住居部分に人が入れば、資金繰りもうまくいくし、

そうすれば、7階部分は地域活性の拠点として投資し、長く続けられる。

そう確信した武岡は、そこから1ヶ月間、武岡は毎週のように提案資料をかかえて、岡田さんに会いにいった。

どんな戦略だったのだろうか。


まず、エドマスからは、マンション全体の改装提案を作成した。

居室部分はもちろん、浄化槽の補修清掃・エレベータメンテや屋上防水など、すべてが含まれていた。

その中でも、エドマスらしいオーナーさんの資産運用を考えた上での、
大きな改修戦略が2つあった。

エドマス武岡:「1つ目は、2棟あったマンションのうち、1Rの棟は売却する。その資金で、2DKの方の北畑マンションを改装すること。」


1棟売却は、大きな決断だった。岡田さんもご家族もなかなか踏ん切りがつかなかった。が、武岡は納得してもらえるまで根拠資料をつくった。


ゴーストマンションを1棟まるまるリノベーション




エドマス武岡:「2つ目は、北畑マンションの全20部屋を五月雨式に改修するということ。改修費用の安い10部屋からはじめ、その後は5部屋・5部屋ずつ、五月雨式に改修しいていくという方法です。改修した部屋からエドマスが借上げ、そうすればオーナーさんとしては確実に費用がたまるので、また次の改修をするという作戦をとって、何としてでも予算内に収めるという策。」

確かに、今回の1部屋あたりの改修費は、平均50万円ほどであったが、
1部屋ずつの改修費を見ていくと、最大で40万円ほど差があった。
岡田さんも、この五月雨方式に異論はなく、また入居有無に関わらず借上げしてくれるという提案に安心感があった。

エドマス武岡:「1つ目の提案理由は、もう一つの売却したマンションは、徳島で一人暮らしのマンションの需要が少ないということと、北畑と比べてロケーション的に不利と考えたからです。岡田さんの地域への思いも込められていたし、場を暖めて、長期で育てていくことを考えると、北畑のマンションに資金的にも運用も1つに集中投下にしたほうがいいと確信しました。」

現在、溜まっていた利子分はほぼ解消している。

2つ目の五月雨改修は、岡田さんから見てどう映ったのだろうか。

岡田さん「10部屋の改修が1ヶ月半くらいで終わり、その後、入居がどんどん決まっていったので、安心して気持ちよく次を任せられましたね。今でも、常に満室になっています。」


10部屋改装したとたん、入居が決まったのにはちょっとしたテクニックがあった。今回、外装は変えていないため、まず先にエントランスなど共通エリアの照明を最初に変えて雰囲気を刷新したのだ。

岡田さん:「昔は、昼間はタクシー運転手さんのサボリ場(笑)、夜は駐車場が暴走族のタマリバだったんです。でも、照明が変わって入居が増え始めたとたん、さーっといなくなったんですよね。」

すぐ分かるこの変化は、驚きだったそうです。


現在、7階部分には企業2社のエンジニアさんのワークスペースとして使ってもらっている。徳島県神山町はワークインレジデンスで有名だが、その企業さまでは、東京・神山・北畑と3拠点のオフィスをもち、自由なワークスタイルをたもっているそうだ。また、個人や地域の活動としても常に人が出入りしている。




予算内で収まりません、これしかできません、と言ってしまうのは簡単。

そして、不動産屋としては買い上げしてしまう方が儲かることも多い。
エドマスでは、オーナーさんの思いとこれからの展望に寄り添い、予算内で入居までを請け負う。

ちなみに、この北畑マンション今後の展望はと聞くと…

「徳島のクリエーターに壁画を描いてもらって、ランドマーク的なマンションにしたい」ということで、これからもどんどん魅力的な人たちが集まる場所に育っていきそうです。

エドマスでは、首都圏に加えて、四国の不動産案件も、現在受付中だそうです。オーナーさん、是非、お声がけください。

(ライター 森 真悠子)

リノベーションのエドマスター株式会社
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